お写真左より、
牧の台小学校区コミュニティ推進協議会 会長 南野 繁夫(みなみの しげお)氏
/東谷小学校区コミュニティ推進協議会 会長・川西市コミュニティ協議会連合会 会長 熊手 輝秀(くまで てるひで)氏
/北陵小学校区コミュニティ推進協議会 会長 杉本 勝広(すぎもと かつひろ)氏
ー北摂里山地域循環共生圏の中心に位置する東谷地区。住民目線、地域活動の目線から課題や現状等をお聞きしたいと、師走のお忙しい中お集まりいただきました。ありがとうございます。
ーよろしくお願い申し上げます。先ずは、『コミュニティ協議会』について教えていただけますか
熊手氏ー
よろしくお願いします。今ご覧の資料に詳しいですが、
川西市独自の制度です。地域活動の中心となる自治会と地域内の他の活動組織とを繋ぎ、地域の活動をまとめ川西市と繋ぐ役割と考えてください。川西市の施策を地域に繋ぐ双方向な役割ですね。本来的には昔からある自治会がカバーすればいいんですが、自治会はあくまでも任意団体ですので、加入を強制はできません。実際には自治会への住民の加入率は低下していて、現状川西市全域を見ると50%内外の加入率です。自治会ではまとめきれない、カバーしきれない非加入住民へのサービスをどうするかは大きな問題です。そこをクリアするために、大きく小学校区で網を掛けて漏れなく地域活動を行う組織・枠組みとなります。現在14のコミュニティが活動しています。地域自治の大きな役割である安全安心の部分、大規模災害等に対する対応については、地域を知る自治会が細かく動かないとケア出来ません。川西市の北部の我々の地域では阪神大震災含めて大規模災害の影響がほとんどなくその経験がありません。住民の自治会に対する考え方もそこに齟齬が出ているのかとも考えています。
ー連携する自治会が大切なんですね。自治会活動は今どのような状況なんでしょうか?地区の特徴も教えてください。
南野氏ー
川西市も自治会加入促進を掲げていますが、自治体の現状は、地域の特性によっても違いが出ています。
私ども牧の台コミュニティは、昭和42年1967年に入居が始まった大規模開発住居地、大和団地という一つの街で構成されています。
一つの街、一つの自治会、一つのコミュニティですね。大和自治会も昭和43年に発足しています。
活動も旺盛で、加入率も漸減してはいますが、80%強と比較的高く推移しています。家が建つと勧誘説明にお伺いする活動を続けています、ある意味コンパクトですから。今話題というか課題のオールドタウンです。しかし、人口は増えてきています。エリアに事業があるわけではなく都市通勤者が主ですので、畦野駅に隣接し駅前にコープがあるのも大きいですね。出て行った若い人たちが大和団地に帰って来ています。
杉本氏ー
北陵コミュニティも同じく一つの街、一つの自治会、一つのコミュニティです。
昭和50年1975年入居が開始された阪急日生ニュータウンの中心部に位置し、猪名川町に位置する北部南部より少し新しく開発された美山台・丸山台が私どものエリア、北陵小学校区となります。大和団地より新しい開発地になりますね、いわゆるニュータウンです。1978年近接する能勢電鉄日生線が開通し、都市部に繋がっています。
北陵自治会の加入率は50%切っています。自治会の加入メリットがどうかというところでしょうか。加入率が低いので、遠くまで回覧板持って行くのが面倒だ、班長、役員にはなりたくないなど、加入率の低さがより加入率を低くする悪循環に陥っている感じです。回覧板を持って来てもらえる、回して行く事が安心を感じると、高齢者の方が自治会に入ってこられる例もあります。安否確認の意味合いも多く自治会の役割の一つかと考えていますので、民生の方にも情報共有する仕組みをコミュニティから提案して行きたいと思っています。若い街であることがある意味加入率が上がらないネックかもしれませんね。
街の人口はピーク時から見ると減少傾向にあり、現在7,800人くらいです。空き家が増えて来ましたね。若い人たちが帰ってくる街の魅力作りが今後の大きな課題です。
熊手氏ー
東谷コミュニティには、現在20の自治会が活動しています。先ほどお話しましたように加入率は50%程度と考えています。東谷小学校の通学エリアは非常に広いですが、少子化が進み実際には小学校近辺に児童が集中しています。北には日本一の里山黒川地区があり、当地の黒川小学校では以前は児童も多く、賑やかな運動会が行われていましたが、昭和52年に休校となり、現在に至っています。
昔のように農業で生活をしていくのは難しいですから、どうしても若い人たちは出て行きます。交通の便も悪く若い人たちが帰ってくるのもなかなか難しい。高齢化に歯止めがかかりません。地域をよくしようとしても新しい担い手がいないのが一番大きな問題です。
ー地域地域に課題があるわけですが、コミュニティ協議会の取り組みはいかがですか
熊手氏ー
協議会は川西市の地域の受け皿となる、あくまでも自治会を中心とした地域活動組織の集合体です。実際の活動はその自治体の強さに左右されると思います。牧の台のように自治会が強い地域は、コミュニティの役割も軽減されますが、東谷のように100−200所帯の小さな自治会の多いところでは、コミュニティが率先して地域の融合を図るイベントを中心とした施策を行っています。
先ほども出ましたが、課題はやはり担い手ですね。昔は農業が主だったので、地域のつながりが生活を支えていました。水の管理や農業委員会、青年団や消防団など地域を横に繋ぎ、活動の担い手を育てる縦につないでいく組織がありましたが、今はもうありません。それが大きな原因かなと思っています。
杉本氏ー
北陵でも同じく、地域全体のイベントはコミュニティ協議会が中心となって開催しています。自治会もですが老人会や色々な団体が団体活動の中で住民のコミュニケーションを図っています。地域活動に大きな方向性を示すのが、コミュニティ協議会の役割であるのかなと考えています。
地域活性化の肝は、人が動くことだと考えていますので、多くの人・地域全体を巻き込んだイベントや地域の財産を生かした魅力ある街づくりに取り組んでいきたいと考えています。ここで、担い手の問題に関わってくるのですが、子育て世代の方や仕事を卒業された方々と話してみると、活動は必要だが、中心になって地域活動を担っていくには抵抗を感じておられるようです。いかに世代を繋いでいくか活動を繋いでいくかに腐心しています。
南野氏ー
自治会の主力の高齢化が進んでいるのは間違いありません。若い人との融合も実際にはなかなか難しい。タイミングもあります。人の問題もですが、地域活動自体はやはりお金もかかります。自治会費も加入者が少なくかつ高額には出来ません。廃品回収を自治会で行うなど努力はされていますが、自ずと限界もあり制約も大きいですよね。
課題は、どこの地域でも同じだと思いますが、いかに住みよい街になって若い世代が魅力を感じてくれるか、帰って来てくれるか、ですね。商店街がなくなり、医者ばかりの街ではいくら自分が育った街だと言っても帰って来てくれません。この点、大和団地は、川西市内で若い人が帰って来ている稀有な街です。土地を引き継いだ子供達が区画を2区画に分割して売却し、その一区画を住居にしている例が多いようです。しかし、移動も大変、病院も遠いで、逆に高齢者が都市部に移住する例も同じように多いですね。街の魅了作りは難しいですが、挑戦を続けています。
杉本氏ー
安全安心がベースであることは間違いありませんが、地域活動を盛んにされている街・地域で育った子供達は、将来地元に帰って来ているというイメージを私は持っています。
うまく世代がつながり継続する仕組みができていることが魅力を作り出す原動力だと思います。若い人の考え方を取り入れ、地域の若い人の協力を引き出していき、その人たちが主力となっていくことです。
南野氏ー
東谷はいわゆる旧村ですので、引き継がれて来た「引き継ぐ」長い歴史があります。しかし、牧の台や北陵の私たちは、みんな外来ですのでいわゆる故郷ではないのですよね。引き継いだ歴史引き継ぐ歴史がないので、みんなが望んでいることとは何か?住民の想いの求心点を見つけることが大切だと思います。
熊手氏ー
コロナ禍で、源氏祭りや大きな市の主催するイベントは中止が続いています。スムーズに再開するかどうか、川西市はあまりお金がありませんので、自治体が地域の魅力を作るのか、その点ではあまり依存しないことでしょうね。
地域住民が自ら考え、自ら創る、自ら引き継いでいく継続的な地域活動の中で、初めて私たちの街の魅力は生まれるのではないでしょうか。そのための人材を地域の中で育てていくことが、私たちの一番の使命です。
ーありがとうございました!
ー地元の地域活動に関わったことが一度もないので、お話をお聞きし新鮮でした。
ー地域活動は人の集まる集団ですので、やはり「塩梅」が大切、自治体と住民をつなぐ「塩梅」も難しい。
ーしかし「塩梅」だけだとブレイクスルーしない、そこの「塩梅」だなと感じました。
ー懸命に地域活動に取り組まれている皆様の想いが、うまく次世代につながっていくことを願わずにはいられません。(T.Mi)