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インタビューず

西谷地区自治会 二井久和氏 西田均氏 龍見昭廣氏

お写真左より、一般財団法人 西谷自治振興 代表理事 西田 均(にしだ ひとし)氏
/西谷地区まちづくり協議会 会長 二井 久和(にい ひさかず)氏
/NPO法人 西谷仕事人 代表理事 龍見 昭廣(たつみ あきひろ)氏

ー秋晴れ快晴の休日、西谷地区の中心に位置する「西谷ふれあい夢プラザ」でお話をお聞きした。
昔、地域のお医者様の古民家をリノベーションされたそうです。

ーお休みに申し訳ありません、よろしくお願い申し上げます。インタビューお願いしました際に、3人で一緒に、とのお話でした。皆様の活動を教えていただけますか?
二井氏ー
まちづくり協議会は自治体で各々の運用形態があると思いますが、私ども西谷地区では、ご覧の組織図のように、13の自治会長含め地域を網羅する団体代表が委員となり、まさに皆集って地区全体を俯瞰した協議を行い課題の調整を行うとともに、各部会が具体的な活動に落とし込み、地域全体の活性化を目指す協議会です。
宝塚には20の地区まちづくり協議会があり、近々協議会自体が条例化される運びです。昨年度令和2年3月には、西谷地区まちづくり計画を策定しました。非常に具体的な活動に落とし込んだものとなっています。

西田氏ー
一般財団法人 西谷自治振興は、自治会連合会では受けきれない地域保全等の実事業を取りまとめて効率的に実施する実行部隊として、平成25年8月に、西谷自治会連合会を母体として発足しました。
現在の事業活動としては、800ヘクタールを有する西谷地域内にある兵庫県有環境林地の管理作業、枯木伐採・遊歩道整備・県有地の除草作業・倒木処理などの山林管理、公園管理、遊歩道の保全管理、災害水害復旧作業、不法投棄物件の撤去作業などを手掛けています。

ー私も調べてみたんですが、県のホームページでは866.79ヘクタール、「宝塚新都市県有環境林」の名称で記載されていますこの県有林のことですか?
西田氏ー
1995年当時、西谷地区活性の目玉として打ち出された大規模事業でした。民有林を県が買い上げて新都市をまさにゼロから創造する一大プロジェクトでしたが震災があり頓挫しました。昔から薪や炭を作っていたというのはありますが、建築材をどうこうするような林業はありませんでしたので、県有林を林業としてカバーする余地はなく、有効な活性化策は立っていません。保全管理する形で現在に至っています。あの県有林は私たち西谷地区住民の夢の跡です。

ーなるほど、重いですね。その中で、NPO西谷仕事人は、どのような活動をされているんでしょうか?
龍見氏ー
平成26年ごろに県民局との里山ビジネス計画の中で、地区で薪を作って販売するプロジェクトを立ち上げたのが発端です。そうこうしていると立杭の陶磁器協同組合から松の薪を出して欲しいとの要望が出、県有林でと考えましたがいい松がなく、地域に残る民有林から出荷し、ビジネスとしても少し回ってきましたので、平成30年度にNPOを立ち上げ、自然保全事業と合わせて発展的に地域の交流促進事業や野外活動体験事業を進めています。20名弱で活動しています。

ーもう少し具体的にはどのような活動ですか?
龍見氏ー
平成31年には、20回の交流イベントで、1016名の参加をいただきました。イベント内容は多彩です。
市内の幼稚園での開催や宝塚自然の家での定期イベントを中心に、

西谷ちまき作りや、ピザ焼き、ザリガニ釣りやなどなどです。

市街地グループとの交流の点では、武庫川がっこうとの連携活動を継続的に行なっています。また宝塚市立西谷認定こども園様とはプロジェクト発足当時より、野外カレー作りや自然体験遊び等を通じて交流を続けています。こども園の近くには私たち法人の芋畑があり、遊び場に開放しています。かまどで安納芋ごはんを作るといつも大好評です。

ー子供たちも楽しそうで、美味しそうですね。体験型の地域交流や域外交流は重要ですよね。ありがとうございました。少し話は飛びますが、西谷地区の課題としては、やはり少子高齢化人口減による過疎化が一番でしょうか?
二井氏ー
そうですね。昨年3月現在の域内人口2455人は、昭和30年宝塚市合併時の約半分です。65歳以上高齢化率43.5%。75歳以上が22.6%。6歳未満が、1.5%。全世帯1104世帯のうち65歳以上の一人世帯と夫婦のみ世帯が467世帯、42.3%。今年6月末現在で小学生80名、中学生37名。
日本全体の問題ですが、西谷地区では少子高齢化は喫緊の最大の懸念であることは間違いありません。住民全体の危機感の共有も重要ですね。

対策としては、まちづくり計画でも取り上げていますが、定住促進という大きな枠組ではなく、移住促進をメインに考えています。年に1人でも2人でも着実に地域の担い手を増やしていく活動が重要だと考えています。地区面積は市域全体の63%を占めています。広範なエリアに点在する住民。集中的な手法ではなく、広がりのある対応が必要だと考えています。

西田氏ー
点の対策はありました。高速道路が出来る、スマートインターが出来るで、活性化するだろう、とは実質ならなかった。先行していた道の駅も出来なかった、規制があって県有林の活用も進まない、その中で、県にどう提案し効率的なタッグを組んでいくかが重要だと考えています。住民パワーだけで出来るとは思えません。地区の新生児は数える程です。教育の場をどう守っていくか、大きな問題が目の前に迫っています。

二井氏ー
教育の場を守るためにも移住を促進しなければなりません。移住者にどんなメリットを提示できるかが重要ですが、最近少し宝塚市も力を貸してくれています。今年令和2年の10月には実際に移住された人の経験を話していただくセミナーを開催します。
現在、30代40代の若い人たちが農業に憧れて移住されるケースが出てきています。また宝塚で今盛況のサービスエリアに多く出ているキッチンカーで働いている外国の人たちの中にも西谷に住んでいる人がおられます。

移住する人が地域住民とうまく溶け込むお手伝い、地域の空き家への入居をスムーズにするマッチングするお手伝いをまちづくり協議会で進めていきたいと思います。コミュニティーである以上、ある線ではコミュニティーの文化も守らないといけませんが、受け手のジュネレーションギャップもあり、難しいですね。田舎ライフを楽しむ人に住んでいただきたいです。

バスの問題もあります。実証実験してみましたが地域内の乗客増はなかなか難しい。バス路線を守るためには、外部からの流入を促進してバスの需要を満たす増やす施策が必要だと思います。

やはりベースとなる産業振興が重要ですが、一例ですが、佐曽利地域の園芸組合では宝塚ダリア園を開園しダリアを生産物ではなく新たに観光資源に活かそうとしています。(秋晴れの平日にお伺いしましたが、大盛況でした。こんなにいっぱいダリアを見たのは初めてでした。)

ー地域産業の充実という点では、今回の兵庫県の取り組む木質バイオマス事業について西谷地区でもいろいろ調査を始めるわけですが、どのようにお考えですか?
龍見氏ー
木を切り出すとなると、急斜地もありますから、移送する道路や作業道を作るにも大規模重機が必要です。自然林ですから、ゼロから始めて下草から刈っていくことからになりますし、チェーンソーで切るというレベルではなく、ユンボーのような機材重機を使って大規模に切り出さないと効率的に成り立たないと思います。かなりの人件費も見込む必要があります。元々地元に林業がないですし、現在も最低限の保全管理作業しかしていませんから、もう労力が全然違うと思います。機材をゼロから人手をゼロから作る必要がありかなり難しいと思いますが、自然を活かして生きていかなければならないエコを大切にしなければならない私たちの地域としては、この事業の可能性に期待しています。

二井氏ー
今回は、そのための調査だと思います。木を切った後も考える、木を切った後が大切だと思います。チップにしても地域で消費するには、エリアが広い住居が点在するだけに利活用は難しいですから。消費するのはゴルフ場とかになるんでしょうね。
西谷地区としてのメリットが何かは調査から見えてくると期待しています。牛糞のバイオマスガスの話も進んでいますので、混同するところもありますから、将来性も含めた全体像が欲しいですね。

まちづくり協議会はあくまでも調整役ですから、そこで汗をかきたいと思います。
これからも3人で力を合わせて西谷の発展に尽くしたいと思います。
ーありがとうございました!

残念ながら私には故郷と呼べる場所がないんですが、
皆様のお話をお聞きしていると、故郷があるって羨ましいなあと思いました。
急激な時代の流れの中で故郷を守る難しさと情熱を感じる楽しいインタビューでした。(T.Mi)

 

 

 

川西里山クラブ会長   辻本 哲 氏

徳島地域エネルギー 事務局長 豊岡 和美 氏

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