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インタビューず

川西里山クラブ会長   辻本 哲 氏

辻本 哲(つじもと さとる)氏
川西里山クラブ  会長 
平成11年 積水化学工業株式会社 退社/平成11年〜平成16年 大阪自然環境保全協会 里山講座スタッフ
平成17年 川西里山クラブ 副会長/平成19年 会長(現在に至る)
平成17年〜平成22年 牧の台緑の少年団 団長/平成23年ー平成29年 大和フォレストクラブ会長
平成11年 厚生大臣表彰受賞/ 平成30年 県知事賞 功労賞受賞

ー予定していただいた同行取材が台風10号の影響で中止。コロナ禍の中、会長の地元大和自治会図書室にてインタビューさせていただいた。


ーよろしくお願い申し上げます。早速ですが、川西里山クラブの成り立ちと関わられた経緯を教えていただけますか?
よろしくお願いします。
そうですね、積水化学工業にお世話になっていましたが定年を迎え、さて、これからは地元の自然に関わりたいと考えていましたので、定年目前に思い立って大阪自然環境保全協会で里山の勉強を始め、定年後は講座スタッフとなって活動しながら色々な森林ボランティアに参加していました。
平成16年に川西市が主催した森林ボランティア講座をきっかけに、私を含め受講生たちの中から自分たちで森林ボランティア団体を作ろうとの機運が盛り上がり、平成17年4月に川西里山クラブが設立されました。設立当時は副会長でした。

ご存知かどうか分かりませんが、森林ボランティアの定義は、「森林所有者との森林整備の方法について契約し、契約に基づいて自主的に森林整備を進める市民及び市民グループ」というものです、契約が必要なんですね。当初は、講座の演習林であった山下駅近くの斜面で保全活動していましたが、一般開放されない森だったので、もっと市民の楽しみにつながる活動にしたいとの思いから、川西市と協議を進め、能勢電鉄様と3者協定を結び、活動地を今の妙見の森ケーブル山上に位置する「妙見の森」にありますふれあい広場を中心にした40haに移し、前後して私が会長になりました。現在も当地で活動を続けています。

ー広いですねー、広すぎてイメージが湧きませんが、どのような活動をされていますか?活動地内の散策道整備&エドヒガンやクヌギの植樹実績

森林活動は冬場が勝負で、山林の伐採は樹木が水を吸い上げていない時期に伐採します。妙見の森ケーブルは冬季運休になります。その間山仕事が出来ないでは、話になりません。そこで歩いて山に上り冬場の仕事に取りかかりました。

山の上り下りの際に、エドヒガンが群生しているのに気付き、これを保護する活動を始めました。調査に入り位置の測定、樹木の計測をして、その中で一番大きなエドヒガンを一般募集で「出会いの妙桜」と命名しました。出会いの妙桜
また、エドヒガンの種を採り発芽させ幼木を育てエドヒガンの植栽も実施しています。長年の育成活動の甲斐があり、この地のエドヒガンの群生地を川西市指定文化財に登録していただきました。写真でお分りいただけると思いますが、根元に見える遊歩道や看板など、皆様に楽しんでいただこうと丹精込めて整備しています。
合わせて台場クヌギ、炭窯跡、エドヒガンの群落や、森林整備されたところ、わざと整備をしていない場所などを繋ぎ、遊歩道を設置して里山散策を楽しんで頂けるように取り組んできました。

このように整備することで、里山の魅力を伝え、私たちの里山を楽しんでいただくことが出来るようになりました。
地元の小学生の授業「里山体験学習」をサポートし、案内のマニュアルを作り学習用のルートを作り、授業ですので、平日になりますが、クラブの会員が子ども達に説明をしています。また、一般の方向けには、里山観察会などを積極的に開催したり、植樹にご協力いただくことで里山活動を体験していただいたりしています。

私たちは里山保全活動として、ナラ枯れ対策と鹿の食害対策に長年取り組んでいます。

ナラ枯れ対策はいろいろ方法がありますが、何せ虫は木の中に入っており、駆除は難しいです。紆余曲折の中で私達が選択した方法は、「薪を作ってナラ枯れを防ぐ」方法です。
8月頃になると罹患した木は枯れて一目で判りますので、伐採して薪にします。薪にすると中から幼虫が這い出て死んでしまいますので、最も効果的です。
こうして出来た薪は、ピザ店にお願いして購入頂く、里山を中心としたこの地域ならではの「循環」が生まれていますナラ枯れはお陰様で、沈静化してきており、安心しています。

鹿の食害は年を追うごとに被害が大きくなってきており、活動中の昼間でも鹿を時々見受けられるようになりました。
対策は、やはりネットを張って守りしか方法がありません。
※治山事業におけるシカ被害対策の現状とシカ被害地での植栽木の生育経過及び防護柵の点検事例
ネットにはゾーンディフェンス、パッチディフェンス、マンディフェンスがありますが、エドヒガンを植樹した際はマンディフェンスで、クヌギなどを植樹の場合は、パッチディフェンスで植樹しています。
ディフェンスで囲った部分は、鹿の食害が無いのですが、外側は鹿にそっくり食べられてしまいます。この効果はディフェンス内では、植生が保たれ植えた樹木以外に自然に生えてきた植物も守られると気づきパッチディフェンスを点在させようと取り組んでいます。
(ゾーンディフェンス=広範囲>パッチディフェンス=狭範囲>マンディフェンス=一本ずつ。バスケットと一緒ですね。T.Mi記)ネットの中と外の植物の繁茂状況比較。(決してネットの外を仮払い機で刈り取っているわけではありません。)
なかなか大変ですが、やりがいがあります。

活動自体は非常にご評価いただいて、平成22年に井戸兵庫県知事より「くすのき賞」をいただきました。平成26年には全国育樹活動コンクールに入賞、直近では平成29年に同じく井戸兵庫県知事より「川西市妙見の森に置ける里山の若返り」活動を「ひょうごの生物多様性保全プロジェクト」に認定いただきました。
現在会員数40名強、高齢化も進み平均年齢70歳弱ですが、できることを着実に進めていきたいと思います。

ー今年の活動で特にこれが目玉だ!的なものはありますか?
今年は新たな試みとして、鹿が嫌う植物「ウリハダカエデ」を植えることで、鹿の食害による土砂の流失を止めようとトライします。
鹿に下草が食べられ裸地状態になり、土が流され土石流となり、山肌が削られる場所が増えてきています。
ウリハダカエデは、根は比較的浅く地表を覆い土の流失を防ぎ、紅葉も中々きれいで、冬には樹液からシロップを作ることが出来る等いろいろ役に立ちそうで、山取り苗を色々な方法で植樹して、どのような植樹方法が良いかテストを始めています。

ブログウリハタカエデ作戦会議1回目ウリハタカエデ作戦会議2回目にもアップさせていただいていますが、11月の植樹実施に向け事前の作業に入っています。あいにくのコロナで日程までは決めきれていませんが、皆様のご協力を得て、いい成果が出ることを期待しています。

ーコロナの影響は大きいですね。いろいろトライされているクラブの活動ですが、未来に向かっての課題は何でしょうか?
クラブ自体の魅力を作り出すことに腐心しています。
工夫といいますか、やはり何かないといけないなと思い、いろいろ取り組んでいます(笑)。
最近では、
薪材を使ってスウエーデントーチを試作しています。キャンプに焚火はつきものですが、この明かりに癒されるんじゃないかと。薪で燃える炎とスウエーデントーチの炎は少し違い味わいがあり楽しめると思っています。
今年は暑かったので、水やりが大変でしたが、椎茸の栽培をしたり、ピザを焼いたり、会員みんなで楽しめるものをいつも探しています。
何かないですか?(笑)。

お金も大変ですね。会費だけで運営していますので、なかなか難しい。いろいろな助成金などもいただいていますが、備品は買えるんですが、効率的に使うことはなかなか難しいですね、活動費全額をまかなうことも到底出来ません。

しかしこの妙見の森には自然の持つ魅力という意味で、大きな可能性があります。四季折々にある魅力をうまく掘り起こし、うまく伝えていきたいと思いますが、そのためには、魅力を生み出し魅力を伝える「人」が必要です。

今クラブで一番の課題は、柔軟で新しい発想を生み出し形にする「人」だと思いますね。

ー活動の中で色々ご苦労をされているわけですが、会長を突き動かしているものは何ですか?

地元の自然、里山をみんなに楽しんでもらいたい。その思いだけだと思います。

ーありがとうございました!

ー前回、インタビューいただきましたが、残念ながら、現地を拝見できていませんでしたので、活動の地「妙見の森」にお伺いいたしました。
(秋晴れの中、向こうに見えるのが活動拠点秘密基地「団栗小屋」)
(お約束のラジオ体操)
(朝礼で、作業の役割分担を。この広い作業小屋は魅力です。)

(一枚一枚手作り彫り文字の立派な名札。帰るときに裏返して帰る。裏返ってないと全員で探すとのこと。)

(当日は薪割と乾燥作業が主。乾燥小屋で結束して1年乾燥させるとのこと。理想は1年半だけど、依頼も多くてとのこと)

(機械化も進んでいて、機械のお話や薪の乾燥含水率についてお話をお聞きしました。深いなーと)

(活動地を一周させていただきました)

(長年取り組んでおられるパッチワークディフェンス植栽地)
(来年の植樹予定地。なかなかにタフな感じです)

(アップダウンの激しい作業道が続きます)

(古い窯跡や)

(台場クヌギ林もよく保全されていました)
(活動の中心地エドヒガン「出会いの妙桜」。来年の春が待ち遠しいですね)


(このような周辺環境の保全活動があって、楽しいバーベキュー広場に明るい雰囲気が生まれているんだなと感じました。)

ー会長には半日お付き合いいただき、15年のご苦労があって、今がある、しかし、今を維持するためには継続こそが命であり、次代の人たちの参加が最大の課題だなと改めて痛感した次第です。
ありがとうございました。
当地名産「銀寄せ」栗をお土産にいただき、大和団地までの7キロを歩いて帰りました。

自由闊達でとても傘寿をお迎えとは思えない矍鑠たるお話ぶりに、喝を入れていただいた思いです。
組織運営にもお人柄が出て、的確な方向性と自由な発想のバランスをうまく取られていると感じました。
8月はコロナの影響もあり子供を連れたファミリーが妙見の森に大挙されたとのこと、
多くの人に楽しいでもらいたいとの会長の思いが、この地にさらに大きく花開くことを祈念申し上げます。(T.Mi)

 

菊炭友の会代表 中川 彰 氏

西谷地区自治会 二井久和氏 西田均氏 龍見昭廣氏

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