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インタビューず

兵庫県環境管理局長 菅 範昭 氏 

菅 範昭(すが のりあき)氏
1964年神戸市生まれ 1988年大阪大学工学部環境工学科卒業 1990年大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻修士課程終了 1990年兵庫県庁入庁 2016年兵庫県農政環境部環境管理局環境整備課長 2018年兵庫県農政環境部環境管理局水大気課長
2019年兵庫県農政環境部環境管理局長(現在)

ー寒気も少し厳しさを増した師走の元町、繁忙極まる兵庫県庁にお伺いしました。

ーお忙しいところお時間をいただき申し訳ありません。よろしくお願い申し上げます。
なかなか仕事を平準化できないですね、いろんな人の都合でスケジュールが埋まっていきますので(笑)。

ー環境に興味を持たれた何かきっかけみたいなものは
大学では環境工学を勉強していました。高校時代に、工学部に行きたいという欲求はあったんですが、メジャーじゃない分野に行きたいなと思って環境工学を選びました。今でこそ環境分野はメジャーですが、当時は工学の分野ではまだまだマイナーな分野のイメージでした。排ガスとか汚水とかをどう処理するかの研究分野なんですが、どう処理するかだけでは解決しないので、どう発生するかの根源に行き着かないといけない訳ですが、どこまで掘り進むかがなかなか難しいというか、今思うと学問として成立する端境にあったような気がします。

授業自体は、都市計画や建築、大気汚染や上下水道とか幅広い勉強をさせていただきました。所属した研究室が非常にユニークで、学生自身が興味を持ったテーマを自分で選んで取り組み研究するスタイルでした。私は、元々は水質汚染から入っていったんですが、もっと違うことにトライしようと、川の上流と下流の合意形成、具体的には琵琶湖と淀川のイメージですが、をどう作り出すかというテーマに惹かれて行きました。社会学の方にも広がっていった感じです。
元々が工学系ですので、本をかたっぱしから読んでいったんですが、ある時、人はなぜ困った他人を助けないかという心理学の本を読んで、これを環境に活かせないかと思いつきました。人間はなぜ自らを少し犠牲にして環境を守ろうとしないのかを心理学目線で考えをまとめて行き、環境を守る行為を組み込んだ社会経済システムが求められるという結論に辿り着きました。

ーCOP25のある意味の決裂を見ても、犠牲を払ってでも環境を守ろうという行動は難しいんだなと感じました。住民自身が、少し犠牲を払ってでも環境を守ろうと思えるか、思えるように出来るかかなと。正に合意形成ですね。
この合意形成が、正に今取り組んでいる地域循環共生圏の主要な課題でありテーマだと私自身感じています。今回2030年に向けたプロジェクトとしてスマートシティーをテーマに検討を始めています。このテーマに北摂里山地域循環共生圏構想は正にぴったりだと感じています。環境部局としては、先進的なプロジェクトに育つよう推進して行きたいと考えています。

ー環境のフレームだけではない広がりが共生圏の魅力ではないでしょうか
共生圏の横の広がりにキャッチアップするために、環境省も今までになく縦軸のフレームを広げて対応しようとしている感じは持っています。県や市町村として環境省の考えをどう受け止めるかというのも課題になりますね。
現時点では、県としては、先ずは再生可能エネルギーのフィルターを通して枠組みを生かして関わって行きたい、その中で次のステージを検討して行きたいと考えています。
住民サイドとしては、これは環境とかこれは農政とか分けて生活していませんから、今の縦軸による専門的な対応とより生活感にあった総合的な対応をどう最適化するか、すり合わせ出来るかは、これからの課題だとは認識しています。その点でも今回の共生圏構想については、縦横に対応できる総合的な視点を持ち込めるIGESさんの存在は、大きいと思いますし期待しているところです。我々としては、やれる範囲でまずはサポートを進めて行きたいと考えています。

地域循環共生圏のゴールって何なのか?を共有して行きたいですね。東谷、中谷、西谷という都市部とは違う横軸が、今までにないフレームがユニークで面白い切り口だなと思います。モデル性が高く優れたフレームですが、決してここで終わりの話ではなく、地域循環共生圏モデルの全県展開を目指す中でのトップランナーが北摂里山地域循環共生圏であり、以降の展開の緒になると考えています。
県はメインプレイヤーではなくサポーターであり、また環境部局は土木部局等とは違い物を作る部局ではないので、実行する地域のプレイヤーが必要です。ここで大きいのがプレイヤー間の合意形成です。地域での合意形成は、企業とは違いある意味フラットで意思決定プロセスが明確ではなかったり、効率的ではなかったりする場合が多いのではないかと思います。この合意形成の新しい形態がこの地域循環共生圏の中で見いだせるのではないかという期待も持っています。
成功事例をどうモデル化できるかは次の課題になると思いますが、まずはこの北摂里山地域循環共生圏に注力したいと思っています。

ー次の課題は地域住民を広く鳩合出来るか、共感し共に行動出来るかにあるのかと。そのためにもいろんなトライアウトを成功させていくことが必要だと感じていますが。
この共生圏に、ちょっと関わりたいなという人は多いのではないかと思います。このちょっと関わりたいと思う人、ちょっと興味を持っている人をどう巻き込むかに活路があるのではないでしょうか。
仕事ではなく、ボランティアベースでトライアウトを進め、めげずにモチベーションをキープ出来るかを考えると、難しいところですね。概念も難しいし、継続性も担保されているとはいい難いし、ゴールも遠い、今まだぼやっとしてるところを、継続的な取り組みの中で少しずつクリアし見える化することが出来れば、県内を超えて全国ベースのモデルになるのではないかと感じています。細かい話になるとハードルの数も高さもありますがクリアしていくしかないと思います。

実際に形にしていくには、「北摂里山地域循環共生圏のものがたり」、地域を巻き込んだストーリー、広く共有共感される現実に根ざしたストーリーが必要だと考えています。北摂には、兵庫県立大学の服部先生が中心となっておられる「日本一の里山」のブランドがあるので、これを縦軸に活かしたストーリーがイメージしやすく、横軸に歴史や環境の話を積み上げていく広げていくことが最適だと思います。
地域にある歴史的な流れとか文化に全く根ざさない行為や事業を持ち込んでも、いくら最新のものであれ成功しない失敗する感じがしてなりません。地域の土壌深くの中にある見えない「もの」を、ものがたり化することが一番ではないでしょうか。
都市部と他の地域では、これからの変化に違いが出てくるでしょうが、北摂はエリア的に都市部に近くて里山がある特徴的な地域なので、その点でも注目しています。

ー北摂里山地域循環共生圏に期待されるところは
食やエネルギー、ものの地産地消が、決して100%とは言えないかもしれませんが、この共生圏でどう実現していくかに期待しています。

人とシステムの両方がないと地域を変えていくことは難しいのではないかと考えています。スタートはやはり人がいないと始まらない、しかし人で終わってシステム化できないと大きな動きが生まれない。その点、この共生圏には多くの多才で多彩な人が関わっておられますので、人とシステムの関係でも新しい成功例、モデルが生まれるのではないかと期待しています。

また兵庫県には里山と似た概念で里海という地域があります。将来的には里山里海の結びつきも兵庫県で実現できないか、実現の方向に向かわないかとも期待しています。これはかなり時間がかかるかなと、もう私は県にいないでしょうね(笑)。
ーありがとうございました。

非常にフランクに、フレンドリーにお話しいただきました。
一つ一つ丁寧に咀嚼し、パッとまとめる流石のお話しぶり、
またお話しも面白くて横道に何度も何度も(笑)迷い込みながら、
すっと本道に帰ってこられる巧みな受け答えに、楽しく、また多くの気付きをいただいた(60分の予定が伸びて)90分でした。
今後とも力強いサポート何卒よろしくお願い申し上げます。
(T.Mi)

 

 

能勢電鉄株式会社 取締役社長 城南 雅一 氏

公益財団法人 地球環境戦略研究機関 関西研究センター所長  鈴木 胖 氏

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