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インタビューず

コラッジョ川西 代表 栂尾大知氏

栂尾 大知(とがお たいち)氏
昭和60年2月17日生まれ。神奈川県川崎市多摩区出身。
ロードレーサーを目指して県立の工業高校を中退し、平成17年1月、19歳という若さで、当時国内強豪チームであった、ミヤタスバルレーシングチームに入団し、プロ選手に。その後Team NIPPO、パールイズミ・スミタ・ラバネロ等複数のチームを経て、2015年1月、兵庫県川西市を拠点とする若手育成チーム「コラッジョ川西サイクリングチーム」を設立し、代表兼監督を務める。現在は「BICYCLE PROJECT」というベンチャー企業を立ち上げ、サイクリングの楽しさをすべての人へをスローガンに、自転車ライディングスクール、サイクリングイベント企画運営を手掛け、地元では、川西市観光協会理事や兵庫県自転車推進協議会委員なども歴任し活動の幅を広げている。兵庫県が作成しアドバイザーを務めた「北摂里山サイクリングマップ」と「東はりま・北はりまサイクリングマップ」はサイクリストの間でも大好評で、アワイチに次いで、兵庫県の代表的なサイクリングコースになりつつある。最終的な夢はわが地域に皆が笑顔になれる自転車文化を作りあげることである。
■経歴
兵庫県自転車活用推進計画策定協議会 委員・兵庫県阪神北県民局北摂サイクル推進チーム 委員・北摂里山サイクリングマップ アドバイザー・東播磨・北播磨サイクリングマップ アドバイザー・兵庫県阪神北サイクルモデルルート協議会 オブザーバー・兵庫県阪神南・神戸サイクルモデルルート協議会 オブザーバー・兵庫県東播磨・北播磨サイクルモデルルート協議会 オブザーバー・新名神高速道路開通記念宝塚SAスポーツサイクル体験イベント実施・新名神高速道路川西インターオープンイベント スポーツサイクル体験イベント実施・ひょうご五国博 ふれあいの祭典 ふれあいフェスティバルin東播磨スポーツサイクル体験イベント実施

コラッジョ川西
2015年に創立され自転車プロロードレーサーとして国内ツアーで活躍した実績を持つ、栂尾大知氏がチーム代表を務め、
自転車競技を通じて人間力を高め、社会で活躍できる素晴らしい人材を育てる事をチームビジョンに掲げ、小学生から社会人までの幅広い年齢層の育成に力を注いでいる、国内初のステップアップ式チーム。コラッジョ「Coreggio」とは、イタリア語で「勇気・度胸」を意味する。
夢や目標を達成するためには勇気が必要ということで名付けられた。チームはレース活動の成績向上だけでなく、生涯スポーツであるサイクリングの普及、地域住民の自転車事故の減少、または自転車保険の加入や健康維持への貢献などを目標としており、地域貢献についても熱心に取り組んでいる。目標は兵庫県を1周するツールド兵庫の開催である。」

ー事務所にされている地元一倉の洒落た喫茶店でお話をお聞きしました。

ーいつもお忙しそうですねー
先日も川西市商工会が主催したこの辺り妙見口周辺のインバウンドイベントとして外国からのお客様を連れてサイクリングツアーをガイドしました。このあたりはインバウンドを呼び込むにはいいエリアなのに、まだ手つかずです。いいエリアというのは、大阪市内に宿泊する外国のお客様が日帰りで一日健康的に過ごすには最適です。妙見口を出ると、信号も少なくて、適度な起伏がある、峠道もある、車両通行量も少ない、走りやすいエリアなんです。今までは確かに坂道が多いからサイクリングには向いてないと思われていましたが、今やE-BIKE(電動アシストスポーツバイク)に乗ってもらえば、早い話全力で走るロードバイクの僕たちより坂道は早く楽々と走れますからね。こちらは必死、向こうは笑顔みたいな、それぐらいパワーがありますから。

ー唐突ですが、小学生の時の夢は?

「プロ野球選手です。当時ジャイアンツ、今は勿論阪神ファンですよ(笑)。」

ー無理しなくても(笑)。サイクリングにハマったきっかけは?
(しばしデイリースポーツの素晴らしさと鳥谷の話で盛り上がったのち)実家は川崎で、だからジャイアンツ球場の近くだったんですよ(笑)。

母親がマラソンのオリンピック候補選手だったんです。

それで、母親がトライアスロンに変わって、家にロードバイクが普通にあったので、小学生の時に初めてレースに出ました。中学校の時は、

「15の夜」やってました(笑)。

ー尾崎豊懐かしいですねー。
中学3年生の時に母親と同じトライアスロンレースで母親に勝てたら好きにしていいと言われて必死で特訓したんですが、完敗して、自分が変わりました。それからはオートバイじゃないロードバイクに楽しくてハマっていきました。で、ロードの選手になりたくなって、それからは一途です。自転車競技をすると、大きな倉庫がいるんですね、自転車を置いておくのに。初めは尼崎に考えたんですが、そこから家賃を巡り巡って川西北部に落ち着きました(笑)。2011年に決めました。
ーサイクリングのプロは何が違うんでしょう?ヨーロッパとの違いとかもそこの強弱にあるんでしょうね。
スピード、パワー、持久力、バイクのコントロールテクニック、判断力、冷静さの全てが高くないと通用しないですね、モータースポーツに近い要素もあります。ヨーロッパとの違いでいうと、一言メジャースポーツとマイナースポーツの違いなんですね。ロードレースは日本人に合っていると思うんですが、子供たちが選ばない、入り口が違うんですね。子供たちが夢見るのはメジャースポーツですよ。体力気力等高いポテンシャルの子供達はどうしてもその国その地域のメジャースポーツに集中します。日本だと野球とかサッカーですね。それがヨーロッパだとツールド・フランスありジロ・デ・イタリアあり、自転車競技がメジャースポーツですから、底辺が違ういうかピラミッドの大きさ、文化が違いますね。日本の文化を変えて自転車競技をメジャースポーツにすることが私の夢です。国内で自転車競技に興味を持って打ち込む子供は競輪選手を目指します、ロードレーサーは目指しません。違いはまあ儲けれるか儲からないか。テレビに出ない、スポンサーが付かない、一番大きいのは会場収入、入場料が取れないことです。公道で見るのでタダなんですよ。タダで観れる、これをいいと思うか思わないかの文化も大きいですね。選手の収入は、ロードレースのオリンピックに出るトップでも野球選手の最低保証くらいですね。Jプロツアーというロードレースの1年を通じた22試合のリーグがあるんですが、そこで総合優勝したチームで、チームですよ、でも賞金200万円くらいですね。そこで見ると、片山右京さんがチーム(Team_UKYO)作って外からスポンサーを持ち込んだのは新しいですし、実力も素晴らしい活躍です。
ーイギリスなんかではサイクルロードもしっかりしてるし、電車にも乗れる。日本の自転車って市民権を持っていない感じがしますが、何が違うんでしょう?
日本はママチャリ文化なんじゃないでしょうか。ヨーロッパにママチャリはないと思います。ママチャリだから歩道を走れ、で自転車は歩道を走れ、車道を走るなになりますね。スポーツバイクとママチャリの違いその文化の違いがそもそもかなーと思います。自転車が入ってきた時にカゴつけて実用車みたいな入り方をしたんじゃないでしょうか、その領域で自転車が日本にフィットしたんでしょうね。電車→自動車→自転車の順で、そこでの棲み分けというか収まりどころがなかったのかなと思います。新しく出来た自転車道もママチャリ道でスポーツバイクには不向きで走りにくい区間もあります。

自転車と自動車は、「共存」がキーワードですね。

ー共存難しそうですね、自転車対自動車みたいな戦いになってるんじゃないですか、どうすればいいか、何かトライされてますか?
交通弱者と交通強者の共存の仕組みですね。行政も悩んでるところだと思います。道幅広げるのは無理ですから、私がアドバイスしているのは、自転車に対する標識を充実させることだと思います。例えば「この先急カーブ」とか。そうすると道路にあった走り方ができる。そういう案内板がないんですよね、今。そこを充実させることで、自転車がわのスムーズな走行によって自動車とのまあ軋轢をなくすというかですね。自動車側も「あー自転車走るんだ」みたいな認識を持ってもらう。2重の効果かなと思っています。交通機関の多様性における共存から見ると、自転車で川西能勢口まで通勤しようと提案しています。僕自身現役時代はロードバイクで大阪まで通ってました。僕で川西市から梅田まで1時間15分くらいです。技術的な走り方を知っていることも大切です。守山市では市民が自転車買うと助成があるんです。今のまま行くと、電動自転車の隆盛もあり、より気軽に乗れることから歩道に自転車が増えて事故も増える。これは間違い無いでしょうね。もっと走りやすくという意味では、北摂のサイクリングマップを作ってます。年4回県と自動車教室とこのマップのコースを回るサイクリングツアーとスタンプラリーをやってます。
ーそこのルートを行けば安全だと
そもそもの安全に対する認識だと思います。二輪車ですから生身の体は外に出てますし、転べば転ぶ。出来ることは、先ほど言いましたが、乗る側の技術力と知識を高めるか、行政が安全なサイクルロードを作るかの二択ではないでしょうか。かたや高齢者が免許返納して自転車に乗りましょうという話がありますが、非常に厳しいと思います。
ー一般の人にサイクリングへの興味を喚起する入り口の情報って少ないですよね
自分で中学校と高校に自転車教室をやったり、国崎クリーンセンターでレースを主催したりしています。一番は自転車屋さんが入り口だと思います。まずはロードバイクを買わないとイベントやレースに参加するところまでは来れないと思います。しかし新車なら用品を合わせると最低15万円ぐらいは要りますからね。買えますかですね、維持費も必要、置く場所も必要。もう一つ、高校生が毎日学校に通うのに自転車で通っていますが、じゃあ楽しいからスポーツバイクを買うかというとそうはならないですよね。楽しいと思うかどうかが入り口だと思います。車乗っている人が楽しいかと一緒ですよね。じゃあスポーツカー買うかですね。地域交通として考えれば、車はどこでも行けるが、普通の自転車は距離が短い。ちょっとそこまでは自転車がいいですが、交通と考えると電車、車、シェアサイクルもどうなんだろうというところかと思います。交通じゃなくてあくまでも移動手段ですね。やはり楽しさから乗るものかなと。
ーサイクリストから見て、北摂の楽しさ魅力は?
この辺りで言えば、大阪市内から近いのがすごい魅力ですね。住みやすいし、北側を見ると突然自然が広がって交通量も少ない。住んでいる人からすると家の玄関からできるスポーツですし。また遠いと行くだけで一日使ってします。半日で楽しめるのは魅力ですよ。ゆっくりでも早くでも走れる魅力がある。色々な楽しみ方があるなと、ただし子供が自転車に乗るには厳しいかな、この地域は中上級者向けだと思います。地域全体とみれば初級者コースもありますので、都市部から近い健康を切り口にした観光として色々な魅力に溢れています、40-50歳代の趣味トップ3にサイクリング入ってますから、可能性はありますね。
ー次目指すステップは?
自転車を文化にしたいなかで模索しているところです。自転車に乗りたい人を増やしたい、特に子供達ですね。ライディングスクールを開催しますが、子供だけとは何も制限していませんが、大人はあまり参加されていないないのが実情です。
ー大人にとって自転車を始める始めたいときのハードルが何か明確でないというか、高そうに見えてるというか
サイクリストでも真のサイクリストでないと真冬になると乗らなくなりますからね(笑)、雪の日にマウンテンバイクで里山を走ると面白いですよ。新雪で如何に転ぶか見たいな。まあそこを含めて広く魅力をどう伝えるか、そこに注力しています。魅力を広めるためにも、発信力を持つためにも、目標をクリアしたいと思います。チームとして2つの目標、競技の目標と地域での活動目標です。競技の目標は僕たちのチームからツールドフランス、オリンピックに出る選手を育てることと、今中心になっている子供が育ってチームとしてアジア地域の国際レースに参戦することです。参戦するためには招待されないといけません、行きたいでは行けないのが自転車レースですね。誰かが僕をサポートしてくれたから今があるわけですから、自分の夢を子供達に伝え僕が教わったことを伝え、子供達の夢の実現をサポートしたいと思っています。そこにやりがいと意義を持っています。
ー原動力は夢ですか?
自転車の選手をやめると他のことを仕事にする人がほとんどです。

僕は、逆に自転車しかない。

乗り越えなければならないものは、一番はお金です。自転車に関係するアドバイザーがメインです。県はインバウンドの集客の力がサイクリングにあると注目していますね。でも、いろんなイベントは無くなりますが、でも自転車は無くなりませんから、その安全対策は無くならない。小学校、中学校の子供達の安全教室は無くならないと思います。僕は、地域の活動としてそこに注力しています。全てにおいて自分が先駆者なので、自分が絵をかけることが一番楽しいですね。一から全て作るので、毎日が激突ですね。

当たって砕けて出来たのがこれみたいな感じ

ですね。今を続けて、3日間で兵庫県を一周する国際レース「ツールド兵庫」を実現するのが究極の目標です。10年で開催したいと思います。僕は出来ると思います、やろうと思えばなんでも。でも多分死ぬまで働いてるんでしょうね(笑)。考えずに今を精一杯生きようと思います、今手を抜いてたらダメだと思いますが、ゴールの見えない真っ暗闇の中だけど彷徨いながら全力で突き進んで行けば、一つ一つ道が拓けていくと信じています。
ーありがとうございました。


お話を聞いていて、ココシャネルの名言を思い出しました。

「私は好きなことしかしない。私は自分の人生を、自分が好きなことだけで切り開いてきたの。」
北摂里山に魅了された人々をつなぐことがこのインタビューシリーズの役割かなと。

さて、栂尾さんにとっての自転車のようなものが僕にあるのか、、、鏡に聞いてみようと思います。
(T.Mi)

 

 

甲子園大学栄養学部教授 鎌田洋一氏 山下憲司氏 大橋哲也氏 

兵庫県立大学 名誉教授 服部 保氏

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