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インタビューず

兵庫県立宝塚西谷の森公園 事務局長 廣津 逸子 氏

廣津 逸子(ひろつ いつこ) 氏
兵庫県立宝塚西谷の森公園 事務局長

ひょうごフィールドパビリオンのプレイベント「里山*環境*人*学ぶ*ツアー 秋編」でお世話になります、兵庫県立宝塚西谷の森公園にお伺いしました。
梅雨が明けそうで明けない少し曇り空の曖昧な天候でしたが、豊かな田園地帯の中に、

いっそう緑豊かなボリューム感のある公園が広がっていました。
公園入り口の管理棟で、廣津事務局長ににこやかにお出迎えいただき、お話を伺いました。

ーよろしくお願いします。公園のそもそもの成り立ちを教えていただけますか?
よろしくお願いします。
私は結婚してこの西谷に来ましたが、当時ここは手付かずの空き地でした。
当時から保与谷池は綺麗な池でしたが、他は何もありませんでしたね。公園が出来ていく姿を散歩しながら見ていました。
この公園は、県がCSR施設として整備しました。概要に詳しく出ていますが、「県民の文化・スポーツ・レクリエーション活動を促進するCSR施設として、西谷地区に残された自然を21世紀の県民の貴重な財産と捉え、県民の参画と協働により、守り、育て、楽しみ、学べる都市近郊型里山公園として整備されたもの」です。
県では、6つのふるさとの森公園を整備していますが、その最後の公園として、
平成20年(2008年)にこの西谷の森公園が完成しました。
開所の当初より私ども特定非営利活動法人宝塚NISITANIが管理運営を担っています。もう16年目ですね。

ーこちらのホームページでは、「宝塚西谷の森公園は、自然に学び、先人たちの知恵に学ぶための里地里山公園です」とありますが、すみません、変な質問ですが、廣津さんが考える「里地里山」とは何でしょう?
山があって人が住む場所の間にあるのが里地里山だと思います。
自然と人の生活がある意味融合し、お互いがぶつからない緩衝帯のようなところだと思います。里地里山を体感するためには安全が大切ですよね。整備しないと体験できないですよね、この公園の意味はそこだと思います。

ーなるほど、ありがとうございます。
次に、施設目的の大きな柱は、一つは「県民の参画と協働」いわゆるボランティアの育成、もう一つが「守り、育て、楽しみ、学べる」いわゆる「プログラム」の実施にあると思います。
まずはボランティア活動ですが、どのような活動をされていますか?


ボランティアのグループは現在大きく3つのグループが活動されています。
「田畑グループ」は、西の谷の農地で農作業に勤しんでおられ、黒豆を作ったり旺盛に活動されています。
「自然教室グループ」は、西の谷の道を上り切ったところに、戸山湿地という湿地がありますが、この湿地は、元々は湿地だったんですが枯れてしまって猪のぬた場になっていました。
その場所をボランティアの力で再生し現在も維持されています。希少なセトウチサンショウウオ(兵庫県絶滅危惧II類相当)の保護活動もされていますね。湿地の花を増やす活動など、グループ内でも独自で計画して活動されています。
「ガイドマップ作成グループ」は、公園全域を見回り自然観察して、日々の情報を3ヶ月に一回自然観察便りの形で発行されています。
名前が知りたい、写真を撮りたい人が集まって、その繋がりの中でまた新しい繋がりが生まれる、それが皆様のモチベーションになっていると思います。自然観察に廻ってる時にお声がけいただいて参加される人も多いですね。当初2名で始まった活動でしたが、今は14名と最近急激に増えました。
その活動の中で、初めて八重咲の「ササユリ」を見つけました。

ボランティアの皆様は、当初は口コミで集まって来られましたが、最近は活動が広がってきた結果だと思いますが、プログラムに参加されたり活動を見た方が、ボランティアをやりたいとお声掛けいただく場合がほとんどです。最多60名程度おられましたが、コロナを超えて今は30名強のご参加をいただいています。
ボランティアの皆様が旺盛に活動されているのは、やはり自由にグループ独自で考え計画し行動されているからだと思います。皆様生き生きと活動されています。

ーありがとうございます。八重咲綺麗ですね。ボランティアの皆様の活発な活動は素晴らしいと思います。もう一つの柱「プログラム」についてはいかがでしょうか?
プログラムは職員が考えています。
土日祝のみの家族連れの方をメインターゲットに、年間100強のプログラムを計画し実施しています。
大きくは2つ。
一つは、西の谷で「田畑グループ」が活動されている農地での農業体験プログラムです。

ジャガイモ作りやサツマイモ掘り、また、水田では
田植えや稲刈り体験、もち米も作っていますので、それを使って歳末もちつき大会も行います。
稲作体験のイベントは、毎回好評で100名程度の皆様が楽しんでおられます。
他には、メダカすくい、サギソウ観察会、バードウォッチングなど自然を楽しむイベントを開催しています。

もう一つは、東の谷で、文化的なクラフトの教室やコンサートなどを開催しています。
またプログラムにはありませんが、公園に咲く「ササユリ」は希少で有名ですので多くのお客様が来園されます。
年間4万人のお客様を目標に頑張っています。ぜひお越しください。
ー今の施設の課題は、どのように感じておられますか?
地域貢献という意味合いになるかわかりませんが、春にこどもまつりなどでは集まっていただいていますが、普通のプログラムでは西谷の方があまり来られていないのは課題かと思います。
広く県民という意味では、地域のギャップが面白さを産んでるわけですから、都市部の方が多いのも自然だとは思いますが、もう少し来ていただけるように努力したいと思います。

その点でもやはりプログラムの充実が一番大切です。先ほどお話ししました通り、職員でプログラムを考えていますので、時間のない中ですが、プログラムを学ぶ機会を増やしたいと思います。他に5つの県立のふるさとの森公園があるとお話ししましたが、連絡会のようなものがあり、情報交換をしています。プログラム自体を他の施設に学ぶことが必要だと痛感しています。その点では、お話の北摂里山地域循環共生圏のような日頃繋がらないネットワークに繋がるチャンスも生かしていかなければと思いました。

お客様の母数拡大策としては、観光の視点も大切だと考えています。
来場者は4万近くからなだらかではありますが、少なくなる傾向にあります。近隣の施設との連携を進めて地域の観光地化を進めて行こうという方針もありますので、少し時間がかかると思いますが、挑戦したいと思います。

また、平日に来場いただく皆様も大切だと考えています。例えばですが、ここの山が好きだという方が多くおられます。毎日登っておられる方もいます。展望台の景色も人気です。なんといってもそこに自然にある山野草の魅力です。しかし、まだ私たちが気づいていない「そこにある魅力」のようなものがあると思いますので、発掘して発信したいと思っています。

ー伝えるもの魅力とその魅力を広く伝える伝え方という観点で考えると、いかがでしょう
里地里山がある適度な自然、適度な高度があり、一周2時間で回れる適度なサイズ感、コンパクトさと、都市部に近くてアプローチが容易であることが魅力だと思います。「公園」の魅力ですね。近くの方から見ると変わらない場所かもしれませんが、都市部の方の癒しの場には最適だと思います。残念ながら公共交通機関が弱いのがネックですが。

伝え方はやはり受け手があってのことですので、SNSなどを使った告知が大切なことは理解していますが、人的リソースを考えると難しいですね。その点でもひょうごフィールドパビリオンに期待しています。よろしくお願いします。

ーありがとうございました!

ー花を愛する事務局長のお人柄が滲む「優しい施設」だなと感じました。
適度さという魅力が、その「優しさ」を受け取りやすくしているような気がします。
秋ツアーで皆様と一緒にお伺いするのが楽しみです。いい天気になってほしいですね。
(T.Mi)

 

 

 

 

渓のサクラを守る会 代表 西澤 孟治 氏

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