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インタビューず

宝塚エコネット 代表 梶原 暢元 氏 

梶原 暢元(かじわら のぶもと)氏
宝塚エコネット代表
2013年6月 兵庫県環境保全功労者知事賞を受賞
2014年4月 宝塚市制60周年記念式典で市政功労者(団体)
2022年6月 ニッセイ財団「生き生きセミナー顕彰」
2024年4月 宝塚市制70周年記念式典でまちづくり功労賞(団体)

宝塚西谷地区の宝塚自然の家の敷地内にある「松尾湿原」。
湿原に今を盛りの満開のサギソウに迎えられて、

松尾湿原の保全活動に取り組まれている宝塚エコネットの梶原代表にお話をお伺いしました。

ーよろしくお願いします。松尾湿原の保全に取り組まれたそもそものきっかけはどのようなものだったんですか
よろしくお願いします。
私ども宝塚エコネットは、2002年ですから今から22年前の4月に、当時宝塚市環境養学習リーダー養成講座、今はeco講座と呼ばれていますが、その講座の修了生12名が集まって活動を始めました。

初めは結構多岐に渡って活動をしていたようですが、この20年の中で、2つの大きな活動に集約され、現在は「松尾湿原の保全活動と植生調査」と「逆瀬川上流にあるホタルの里 ピカピカランドの管理とホタルの育成」を行っています。
現在の会員数は30名弱で、設立当初から在籍されている方を含め70代80代の皆様がまだまだ主力となり活躍しています。

松尾湿原自体は、1978年に宝塚市の天然記念物に指定されていましたが、その後あまり手が加えられずに湿原自体が肥沃化し、その姿を失いつつありました。その姿に危機感を持ち、私たちは設立時からこの湿原の復元に取り組み、当時178平方メートルでしたが2割ほど増加し、現在は218平方メートルに拡張しています。

ー具体的にはどのように復元をされ、どのように保全されているんですか
復元は、市を中心に2002年当時に重機を入れて肥沃化した上層の土壌層を削り取り、基盤になっている湿原帯を表層化することが行われたと聞いています。
私たちは、その表層化した湿原を維持保全することで、本来の湿原の環境に帰すことを目指しています。

活動は毎月1回です。4月~10月には湿原植物の調査を行い、11月~3月には湿原の土壌が富栄養の状態にならないように枯草を撤去し、湿原由来の植生推進を行っています。また、状態を見ながら周囲の常緑樹を伐採し、水の流れを保つようにしています。
                       ホームページより
寒い季節の活動となり、これがなかなか大変です。拡張は今も少しずつ進めています。
                                   ホームページより
湿原を拡張するというよりは現状の大きさで湿原生物の維持、増加に注力し、どうすると維持できるか、育つかを探っています。そのために学識者のご指導いただきながら植生調査を継続して行い、報告書を発刊しています。

                                ホームページより
おかげさまで、ハッチョウトンボも復活し、今では間近で写真が撮れるくらいの湿原になりました。
                                 ホームページより
ー松尾湿原の魅力を一言で言うといかがでしょう

湿原を見るには、一番見やすい、入門編の場所ではないでしょうか。
ここは宝塚自然の家の敷地内ですので、イベントに来られた方が立ち寄ることも簡単です。
自動車でのアクセスも容易で、駐車場からの湿原の距離も短く、トイレも近くにあります。
湿原のサイズも小さいですので、例えば、ハッチョウトンボやサギソウも、探し回らなくても、近くですぐ見れるのが魅力と感じています。

湿原が小さいことから、ハッチョウトンボやサギソウの数を数えることもでき、毎年、数を数えることを観察会のイベントとしても行っており、経年変化が確認できることも特徴です。

そんな特徴があり、湿原への入り口みたいな感じで、ハードルの低さが一番の魅力と思っています。
ここで湿原を知って、他の湿原に行くような人が増えることを願っています。

ー今課題として考えられていることはどのようなことですか
他の保全団体やボランティア団体に共通する課題ですが、若い人の入会が少ないということです。
若い人たちに活動を知ってもらうことや、ボランティア活動で何が提供できるかを模索しています。

最近チャレンジしているのが、リソースを考えた分別への取組みです。
伐採した枝や樹木、樹木の表示に用いている焼き板作成時の消し炭などは不要なものとなっていますが、分別後の用途を想定した取組みを行うことで、活動を知ってもらう切っ掛けづくりや、再利用の可能性を示すことで活動に興味をもってもらうことに繋げたいと考えています。

宝塚エコネット活動ではないのですが、里山ラボさんとも連携し、宝塚自然の家のイベントで炭の再利用としての炭団(たどん)づくりの体験教室を始めています。
これにより、ボランティア活動での分別する目的がわかりやすくなることで、活動を身近なものとして知ってもらい、挑戦する魅力に繋げたいと思っています。

これは炭団(たどん)がいろんな形に成型できる見本として作成したものです。
かっこいいでしょ(笑)。

また告知にも力を入れていきたいと思っています。
今、進めたいのはInstagramですね。多くの人に届けたいため色々勉強しながらこれも挑戦しています。

ーもう一つの柱である逆瀬川上流にあるホタルの里 ピカピカランドの活動との連携という点ではいかがですか
ホタルの里ピカピカランドは、阪急今津線の逆瀬川駅から逆瀬川上流約1100mの内畑緑地公園内にあります。

                                  ホームページより
1992年に周囲、及び天井とも全面網戸で作られたゲージが地元の出資で作られ、2002年から宝塚エコネットで管理し、蛍の育成に努めています。
ホタルが飛翔する時期には毎年述べ1500人を超える人たちが見学に訪れてくれています。
2010年からは近隣小学校児童を招待して、ゲージ内への蛍の幼虫の放流会を実施しています。
                                  ホームページより
色々な活動を経て、現在は松尾湿原、逆瀬川での活動が出来てきたという印象です。
活動ごとに人は分けず情報を共有していますが活動地が離れており、会員の活動しやすい場所は個別に生じていると感じています。

私自身も宝塚エコネットに入ったきっかけは逆瀬川での活動なんです。
体力作りで逆瀬川付近を走っていたのですが、逆瀬川の清掃活動をしていたことから声をかけさせてもらったのが発端です。少しでも社会のお役に立てればと(笑)。入会後に松尾湿原の活動を知り、草を運んだりしていい体力作りが出来るよと教えていただき、松尾湿原の活動も積極的に実施していました。

ー繋がってきましたね
体力作りでいつも逆瀬川を走っていたんですが、いつも清掃活動をされているのを見て声をかけさせてもらったのが発端です。少しでも社会のお役に立てればと(笑)。
その後、松尾湿原でも草を運んだりしていい体力作りが出来るよと教えていただき、松尾湿原にも通い始めました。

ー代表自身は、いつから活動されてるんですか
3年前です。
積極的に草を運んでいたことから代表として声をかけてもらったのかもしれません(笑)。
まだまだ力不足ですが次の世代に継承していきたいと思っており、地域連携も大きな課題と考えています。

今年4月の春ツアーで日本一の里山・北摂里山フィールドパビリオンのことを知りました。

                               左の黄色ジャケットが梶原代表
ツアー参加の皆様に松尾湿原の説明をさせてもらい、その際にも活発にご質問をいただき教えていただくこともあり感謝しています。
これからも北摂里山地域の皆様のお力添えをよろしくお願いします。

ーありがとうございました!

ーいい年代の若い代表が活躍されているのが羨ましいなと思いました。
ー年代がシームレスにつながっていた昭和平成年代と、ブロック化している令和年代。
ー年代の持つ質が変わりどう連携を生み出すのか、、代表の今後の取り組みが楽しみです。
T.Mi

 

 

 

 

 

 

北摂ワイナリー株式会社 代表取締役 遠藤 薫 氏 

公益財団法人 地球環境戦略研究機関 プログラムディレクター 小嶋 公史 氏


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