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インタビューず

コープこうべ 岡田卓巳氏 鬼澤康弘氏 大谷常雄氏

生活協同組合コープこうべ
原点は「愛と協同」。コープこうべは社会運動家・賀川豊彦の指導のもと、1921年(大正10年)にその前身が誕生しました。1991年(平成3年)創立70周年を機に名称を「生活協同組合コープこうべ」に改称。組合員のくらしを支え、豊かにする事業や活動を展開しています。一人ではできないことも、みんなの力を合わせて、願いや夢をかたちにする。コープこうべは「愛と協同」の精神を原点に、これからも歩み続けます。

ー兵庫県民から「コープさん」と呼ばれている生活協同組合コープこうべ。その発祥の地、JR住吉駅前のコープこうべ住吉事務所にお伺いしました。

ー北摂里山地域循環共生圏についてどのように受け止めておられますか?


岡田 卓巳(おかだ たくみ)氏
第1地区本部本部長
1967年  神戸市生まれ・神戸市育ち 現在は明石市に在住/1989年3月 関西大学 社会学部 産業社会学科 卒業/1989年4月 灘神戸生活協同組合(現在の生活協同組合コープこうべ)入所。入所後は配送トラックに乗って各グループに商品をお届けする協同購入担当者として6年勤務したのち、20年間店舗職員として6店舗を経験。その後組合員活動を主とする部署に3年勤務したのち、現在の第1地区本部に至る。好きな言葉は、相田みつおの「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根はみえねえんだなあ」表面的な事柄だけに目を向けることなく、そこに至った背景も考えながら行動すると同時に、自分自身もいつかきれいな花を咲かすことができるように根を太く、大きく広げ精一杯頑張っていきたいです。
ー「小学生の時の夢は?」「新幹線の運転士です!」

緩やかーな共同体というか、一本一本の線は細いけれども集めることで強くなるイメージかなと思います。
太陽光発電と農業の両立の領域で現在宝塚すみれ発電様と一緒に深く関わらせていただいていますが、もっと貢献できると考えています。
私どもはおかげさまで、170万人の組合員様と一緒に活動しています。北摂里山共生圏地域は私どもの第1地区とほぼ同じエリアです、組合員数は約27万人。もっと色々なところで関わって、組合員様の幸福につなげていきたいと思います。例えば食の地産地消では、地域の農産物を近くの店舗で販売する「とれしゃき」の取り組みや、兵庫県漁連と共同で未利用魚の海鷂魚(えい)を、メニュー提案をして食べていただくことで地域の環境保全に生かす取り組み「とれぴち」なども行なっています。自然保全においても兵庫県立大学の服部先生のお力添えを受け西宮市の社家郷山でコープの森環境保全活動を行っています。これらのノウハウを生かして広く共生圏内に横展開することは可能かと考えます。
生活圏にマッチした活動の取り組みがコープこうべですので、共生圏との考え方にはシンパシーを感じます。地域広域への発信力を生かした底上げにも取り組みたいと思います。
ー第1地区の地域デザインと問われるといかがでしょうか?

地域全体の幸せです。

幸せとは何か?個人の意識が向上すること、色々なコープこうべの活動に参加いただくことで、学び体験し、自らの知識を高めていただくことで地域全体が良くなると考えています。共生圏における教育に当たる部分かと思います。
コープこうべの元々の原点が「くらしの安全・安心」です。そして、私どもが大切にしている3つの柱、「利用」していただくだけでなく、「出資」していただいて「運営」にも参画してもらうことで「くらしの安全」を守る、これが地域デザインのベースです。安全であるから安心、安全を学んで知っていただくことが根底を支えていますので、コープこうべが学びを提供する場を作り出すことが強みであり使命だと思います。この安全・安心の基準が今までとは違って大きく変化しています。安全だからこそ安心を得ることができる選択肢を学びの中で正しくお伝えし、最終的に地域の皆様に理解していただき利用を促進することで地域全体の幸せに貢献しているのではないかと思います。
そして、今、大きなジャンルとして生まれているのが今までになかった「持続可能な循環型社会」への取り組みです。

コープこうべでは、環境対策や環境活動の大きなフレームは、環境推進が計画立案しています。

鬼澤 康弘(おにざわ やすひろ)氏
環境推進 統括
1974年 茨城県大洗町生まれ。バブル崩壊直後の1999年、コープこうべに入所。縁もゆかりもない関西の地で社会人生活を開始。最初の赴任地は宝塚市内の協同購入センター、その後結婚して定住しているのが嫁の実家がある川西市。気がつけば北摂にどっぷり浸かった毎日。豊かな北摂の自然の中で趣味のトライアスロンを楽しんでいる。
ー「小学生の時の夢は?」「なんとなく先生かなーでした。途中でイヤになりましたが(笑)。」

環境推進の役割は、再生可能エネルギーなど地域資源を活かしたビジネスモデルを構築し、地域に最適化していくイメージです。例えば宝塚すみれ発電様との取り組みのように、その地域の特性や強み、地域性を生かしたより効果的な活動を目指し、地域本部がコーディネーター役となって人と地域を結び付け、取り組みを深化させています。甲子園大学様と宝塚すみれ発電様とのコラボ企画では、ソーラーシェアリングのメリットを活かしたサツマイモの栽培体験に取り組み、食の6次産業化も視野に入れ、チャレンジしています。サツマイモを作っているんですが、芋掘り等で子育て世代への体験学習にも通じているかと思います。大学生との語らい、レシピ作りの交流も生まれていますし、次のステップでは製品化、店舗での販売にもつなげていきたいと思います。地域で作って地域で消費することにより移動搬送における二酸化炭素の排出抑制等にもつながっていくかと考えます。取り組みに地域格差があるのは否めません。横展開としては、宝塚すみれ発電の井上様との活動を当生協が広域に情報発信し、共有することにまずは取り組んでいるところです。
コープこうべの組合員数は兵庫県の世帯数のほぼ半分です。中でも、コープの活動に関心のある組合員が参加している地域コープ委員会では、組合員教育の一環として、色んな世代の人が集まって、食育、環境、子育て等様々なテーマを一緒に話し合って学習し、よりよい地域づくりを目指しています。

「コープさん」から「コープ」の時代に確実に変わってきています。

食の構造もどんどん変わってきています。火を使わない、洗わない、包丁もいらない、箸も使わない、個食化もどんどん進んでいます。
時代のニーズにあった新しい取り組み社会変化の中での新たな安全について、さらにコープこうべの考えをちゃんと伝えていかなければと思います。その中で地域との連携をどんどん強め進め、プラットファーマーとして貢献していきたいと思います。そして、いつまでも「コープさん」って呼んでもらえる組織でありたいと思います。

プラットフォームの一つとして立ち上げたのが「コープでんき」です。

大谷 常雄(おおたに つねお)氏
環境推進 エネルギー担当係長
1974年 赤穂市生まれ・赤穂市育ち 現在も赤穂市に在住。1998年3月 広島大学 生物圏科学研究科 修了。1998年4月 生活協同組合コープこうべ 入所。2015年1月 環境推進。入所後は配送トラックに乗って各グループに商品をお届けする協同購入担当者として3年半勤務したのち、13年間商品検査センターに勤務。その後環境推進に異動後電力事業に従事し、現在に至る。赤穂市生まれの赤穂市育ち。就職後も赤穂市に在住。地元の神社の秋祭りに参加し、大屋台を練るのが現在の楽しみ。
ー「小学生の時の夢は?」「白土三平『忍者武芸帳』の謎のおばばに憧れて、薬の研究者になりたかったんです。」

私どもの強みである組合員様との商品の購買を通じた様々な入り口を通じて、積極的なお声がけからコープでんきの良さを伝えていきたいと考えています。
「コープでんき」は、2017年に立ち上げました。組合員様170万世帯で約3万5千件のご加入いただいておりますので、まだまだこれからです。コープでんきの価値はエネルギーの地産地消であると考えています。「コープでんき」のご利用は宝塚市は少し多いですね。宝塚すみれ発電様の名前で加入いただいたケースも多いですが、市の積極的な再エネ政策の影響も大きいと感じています。

このように地域の電源を増やしていくことで、地域への供給を促進することが可能となります。地域の電源という意味では、すみれ発電様以外にも、神戸市の垂水処理場様での下水汚泥から発生したガスを使ったバイオマス発電や、株式会社日本海水様の赤穂の製塩工場で宍粟市の森林組合様との連携による木材をチップ化したバイオマス発電を行なっておられます。このように地域の発電事業に連携することで、地域への供給へと取り組みを進めています。塩を作るためには豊かな海が、豊かな海を守るためには、海に流れ込む川の上流にある森林保全の活動が大切です。この活動に組合員の皆様をつないでいきたいと思います。

地域の発電、地域の消費、地域の活動をつなげていく

ことで、組合員の皆様の環境への意識が高まることが「コープでんき」の使命の一つではないかと考えます。究極は世帯ごとに太陽光発電をすることがベストですね。送電と配電の配電をどう管理するかが地エネの促進というか確立には必須になります。しかし、まだそこまでは日本では難しい、過渡期かと思います。その過渡期にあって、いかに意識を高め理解を深めていただくか、そのための活動を今行っているのが現状だと思います。
「コープでんき」の挑戦は、今始まったばかりです。
ーありがとうございました。

北摂地域循環共生圏におけるコープこうべさんとの連携は、より強く、もっと可能性のある広がりが作れるなと感じました。
嫁さんは、大のコープさんファンでして、『老後はコープさんがあるから大丈夫』と豪語しています。末永くよろしくお願い申し上げます。
(T.Mi)

 

兵庫県立大学 名誉教授 服部 保氏

神戸新聞社 論説委員 辻本 一好 氏

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